WorkTech AI

AI時代の働き方を考える

会計の仕事とAI(機械学習)の関係性について

f:id:taraten:20180520231438j:plain

巷にあふれる「AI(人工知能)が淘汰すると言われる仕事一覧」というものに、会計関係の仕事って多くないですか?。

かくいう私も、会計の仕事に関わっているのでとても気になります。

 

しかし、会計の仕事って幅広いんですよね。すごく適当に書くと、

  1. (営業が顧客と契約したり、業者に発注すしたりした後に、)
  2. 伝票を起こす:請求する・請求される。1の契約内容によって仕訳が変わります。
  3. 財務諸表を作る:引当金計上したり、税効果計上したり、税金計算したり色々します。
  4. 会計監査を受ける:すべての処理が会計基準を満たしていると解釈できるようにします。
  5. 世の中にお伝えする:決算短信や有報で開示します。開示をする目的は、世の中から投資を集めるためですから、見栄えよく伝える必要があります(嘘にならない範囲で)。お金を貸してくれる銀行や、証券会社、格付会社からもとても細かい質問を受けるようです。
  6. 不備(不正を含む)がないかを確認する:もしあったら再発しないような手段を講じます。

このほかに、「管理会計」があります(順番はこっちが先かも)。

  1. 経営計画(予算)を策定する
  2. 予実進捗を見る
  3. 進捗が悪ければ、計画を達成するよう対策を講じる

そして、会計と異なるルールで集計をしなければならない「税務」もあります。税金っ毎年微妙にルールが変わります(税制改正)。

さらに、子会社が沢山あるといろいろな業態のビジネスを把握しないといけませんし、連結の財務諸表を作るための更なるルールを抑える必要があります。

 ビジネスの結果は最終的に、会計(と税務)の言語で記述しなければなりません(この記述ルールもしばしば変わります)。

 

会計って、端から見ているほどルーチンな仕事ではないのかもしれませんよ?。

 

そんな中、読んだ記事。

 

logmi.jp

 

自動化による業務イノベーションという意味だと、経理の仕事をどんどん機械学習で自動化しています。例えば、売上入力は、今は機械学習のほうが精度が高い。精度が高くなるように経理の連中はデータを入れてないといけない。それはパッと見、自分の首を締めているように見えるかもしれませんが、こうすることで彼らはAIにできない仕事に集中できるようになるんですね。 

 

一見、経理業務を全自動化してそうな記載ですよね。すごくないですか?。どうやっているのか知りたくないですか!?

 

 

さて、仮にですが、あなたがこの記事を読んだ経営層から、会計業務をAI(ここでは機械学習をコアとする人工知能)で完全自動処理させる仕組みを作れ、というミッションを受けたとします。

...考えてみても、むりげーな気がしますね。色々なところで科学力の限界にぶち当たりそうです。

 

とりあえず、一番ルーチンっぽい「伝票を起こす(請求する・請求される)」から手を付けてみましょうか?。

ところが、この業務って完全にシステム化しにくいのです。

紙の請求書をなくすことは企業外部がかかわることなのでとても困難です。スキャンして機械学習で文字認識させるよりも、人の目で見たほうが早いですよね(現時点では)。

 

完全に人を機械に置き換える事は、現在の科学力では、まだまだ実現できない気がします。少なくともコストと労力に見合わない気がします。

 

マイクロソフトさんはおそらく、計上された利益(少なくとも一部は人力で集計)から、今期の予算の達成可能性を機械学習で予測し、達成しない可能性のある部門の今後の打ち手を人間が考える仕組みを実現しているのかもしれません。

これが会計業務の自動化の到達点かも(注:現時点における)。

 

AI(人工知能)が「今」出来ることって?

f:id:taraten:20180519235107p:plain

近い未来はわからないですよ?

でも、現時点においてAI(人工知能)が実現できていることってとても少ないんじゃないかと思います。 

 

そもそも、私はAI(人工知能)が騒がれだした当初、「ドラえもん=AI(人工知能)」って考えて、AI(人工知能)のニュースを読んでいました。

数年前のオクスフォード大学教授の「仕事の5割はなくなる!」を、そのまま受け止めて焦っていましたよ。

しかし、最近は、だんだんと、AI(人工知能)ってなんでもできるよというような記事も減ってきました。

 

では、現在のAI(人工知能)とは、一体何でしょう?

「いわゆるAI(人工知能)」とは「機械学習(深層学習を含む)をコアとする関連技術群」で、機械学習とは「過去データに基づいて未来のデータの値を予測するモデルを作る技術」で「そのモデルが必ずしも明示的にルール化できるとは限らない」もの。

 このブログの説明の抜粋です。とても分かりやすいと思います。

tjo.hatenablog.com

 

「そのモデルが必ずしも明示的にルール化」出来なくてもよいところが、AI(人工知能)となった理由で、そして「過去のデータに基づいて…」という下りが、現時点における「AI(人工知能)」の限界なんだろうなという理解をしました。

ドラえもん=AI(人工知能)が、機械学習の進化という形で実現するかどうかは、非才なる身では予想もつかないですけど、それでも、ドラえもん機械学習の進化の果てには存在しないのではないかと感じています。

 

機械学習という技術が限界という意味ではないですよ?。

 ここ数年の機械学習のブレイクスルーは、おそらく世の中を変える技術につながるのでしょう。

 

Google翻訳(機械学習自然言語処理の組合わせ)は素晴らしいです。語学力がない私でも、英語の文章読めますし、書けますからね。音声認識の技術がさらに進歩すれば、「翻訳こんにゃく」の登場が期待できるでしょう(だからと言って人間に語学力不要というわけではないでしょうけど)。

 同じようにこういった機械学習の技術の進化において、私たちが使える道具は変わってきます。仕事の仕方も変わってくるだろうなと。

 

「5割の仕事がなくなる!」ではなくて、「5割の仕事のやり方が変わる!」ですね。産業革命やIT革命のときと同じですかね。

今回は5割どころではないかも。「今」、何に備えればいいのか焦っちゃいますね。

 

ところで、 どうなるとAI(人工知能)=ドラえもんが登場するかという一つの仮説は、これかもしれません。

 

AIの進化はまだ発展途上だ。この先いちばんのカギとなるのは、AIが「“手”を持ったとき」だと思う。

toyokeizai.net 

そして、堀江氏はこう続けます。

しかし、それがいつになるのかは誰にもわからない。
見えない未来など、考えていても仕方がない。本来問うべきものは、「未来」ではなく、「今」であり、「今自分が何をすべきか」であるはずだ。
さまざまなところで何度も言っていることだが、自分の「好き」という感情に向き合い、ひたすらに没頭することだ。それがいつしか仕事になる状況が、今は増えている。 

 はい、おっしゃる通りでございます。

焦って当たらない未来予測をするよりは、今必要なことや好きなことのスキルアップを考えます。